- 2021.04.30
令和3年4月30日
関係者 各位
大分県農業協同組合
経営管理委員会会長 村上 潔
代表理事理事長 平間 悟
悉皆調査委員会における調査報告書の受領についてのお知らせと
今後の対応について
大分県農業協同組合(以下「JAおおいた」と言います。)は、令和2年12月15日付でお知らせいたしましたとおり、令和2年12月10日付け経営管理委員会の決議により悉皆調査委員会を設置し、まだ発覚していない不正行為や不適切行為を「総ざらい」するための調査を実施しておりましたが、令和3年4月26日に本件委員会から調査報告書を受領いたしました。
つきましては、以下のとおり調査結果並びに今後の対応方針についてお知らせいたします。
【1.調査手法】
悉皆調査委員会の調査方法として、全職員向けアンケートの実施および内部通報窓口の設置を行いました。加えて、外部者からの通報もあったため、それを端緒とする調査も実施しました。また、全国農業協同組合中央会の「不正対応監査ツール」(以下「全中ツール」という。)を利用したリスクベースの調査も実施しました。
【2.調査結果】
上記1で記載した調査手法によって悉皆調査委員会が認定した不正行為・不適切行為は以下のとおりです。なお、悉皆調査委員会では、本報告書作成時点で継続調査中の事案があり、それについては不正の存在等が明らかになった場合には追って報告を行います。
1.JA職員による不正行為
(1) 業者からのQUOカードの受領
平成28年12月頃から平成30年12月頃までの間、JAおおいたの施設において、取引関係のある業者(2者)は、各年の8月頃と12月に、施設長らに対して、所属職員数と同数のQUOカード(額面は5,000円または3,000円)をお中元またはお歳暮として持参し、これらのQUOカードは、職員に対して1枚ずつ配布され、一部の職員はそれを私的に使用した。
こうした業者からのQUOカードの受領は、JAおおいたの就業規則で禁止されている取引関係にある業者からの不正な金品の受領に該当する。
(2) 駐車代金の着服
JAおおいたの施設の施設長は、施設管理権を有しているが、平成30年頃に少なくとも2回、近隣に所在する団体に対して、駐車場の一時使用を許諾し、その対価として、1回あたり5,000円の現金を受領したが、JAおおいたの収益として計上せず着服して横領した。
(3) 推進費の私的使用
平成28年6月から平成30年5月までの間、〇〇事業部のA部長及びB課長は、私的な懇親会の飲食費、宿泊費、駐車場代等を、研修費等の名目で、JAおおいたの経費として処理し、合計34万2,297円を不正に使用したもので、この行為は背任に該当する可能性がある。
(4) 直販所を巡る不正支出問題
JAおおいたの直販所において、地元有力者からの営業妨害が行われることを懸念して、平成26年4月から平成30年末まで、不適切な架空取引に伴い実態を伴わない手数料の支払いが地元有力者に対して行われた。この件については一部経営幹部の不適切な対応が認められた。
2.共済「ノルマ」問題
アンケートにおいて共済契約推進におけるいわゆる「ノルマ」と職員による「自爆」の問題に対する意見が多く寄せられたため、悉皆調査委員会ではこれを個別の不正行為・不適切行為としてではなく、構造的な問題として調査を行った。その結果として、以下の指摘がされている。
JAおおいたにおいては、共済推進に拠る奨励金の獲得による収益確保に偏した目標設定が行われ、職員に課された推進目標が事実上の「ノルマ」として、本来業務遂行の障害となり、職員の可処分所得を減らし、士気の低下につながっている面がある。「このような事態は、JAおおいたにおける共済の推進体制(例えば人的資源の配置)、推進の方法(ターゲットの設定や、アプローチの仕方、顧客ニーズの把握)等が的確でなく、非効率である結果ではないかと推測される。人的資源の配置や全体的な推進の戦略は、JAおおいたの経営陣・幹部の役目であり、それがうまく行かないツケを、職員の自爆で払わせているとすれば、JAおおいたの経営のあり方に問題があることになる。これが、JAおおいたの業務に歪みを生じさせ(本来業務への支障、士気の低下)、不正の温床になると職員が感じ、また、若年層の離職や採用難にまで至る原因の一つにもなっているとすれば、JAおおいたの持続可能性に悪影響を及ぼしかねない。」
3.会計処理に関連する改善点
全中ツールを用いた調査を行ったところ、不正行為が疑われるものは確認されなかったが、信用事業における現金精査と取引精査の順序、定期積金掛金の集金日と掛込日の乖離、および在庫管理について、改善するべき点の指摘があった。
4.その他の指摘事項
上記に加えて、アンケートにおいては、経済事業でのノルマについての問題点を指摘する声が多数寄せられたほか、不正行為または不適切行為としては個別に認定できないものの、JAおおいたにおけるコンプライアンスの不徹底または規律の緩みを示すエピソードが数多く寄せられた。
【3.今後の対応方針】
今回の報告により不祥事件に認定された案件については、行政・関係機関への報告など適正に対応するとともに不祥事再発防止策を策定し実践して再発防止に努めます。
問題点及び改善点については、指摘内容を真摯に受け止め再検証を行い、問題の解決及び改善に向け取組みを進めて参ります。
その他の要指摘事項については、調査実施の上、実態を把握し是正対応を行って参ります。
以上